9月29日(木)に、ある会計事務所主催の賃貸住宅についてのセミナーが開かれ、講師としてお話させて頂きました。
藤沢市の会計事務所で行われ、その関与先の顧客を中心に30名程のセミナーでした。
私の他にもう一人、実際に賃貸住宅経営をされている、熱心な勉強家の事業家の方のお話がありました。
私は、賃貸住宅の設計に永年、数多く係わらせて頂いている経緯の中で、それぞれのプロジェクトの持つ個別の可能性をいかに引き出すかがどれほど重要な事かを痛切に感じていますので、その事を、作る側の立場からお話させて頂きました。
いかに、画一的な賃貸住宅でなく、魅力的な住居の提案が出来るかが大切になると考えています。
そこで、とても重要なポイントとなるのが『テーマの絞り込み』という事になってきます。
テーマを絞り込む事でそのプロジェクトの持つ魅力を最大限に引き出し「高い入居率の保持」と「低い家賃の下落率」の実現につながる事をお伝えしたいと考えました。
私たちが取り組んで来た、約40棟ほどの賃貸住宅の中から敷地特性や環境面を中心に建築的なテーマの絞り込みの例を、スライドを使って事例研究的にお話させて頂きました。
やや手前味噌になりますが、セミナーの時に使った私どもの手掛けた築10年程の賃貸住宅の現時点での空室状況と10年間の家賃の下落率を参考データとして提示させて頂きます。
■事例1(江戸川区)2001年竣工 オールメゾネット12戸
・現在空室 1室
・家賃下落率 3.7%
■事例2(千葉市) 2001年竣工 スタジオタイプ 18戸
・現在空室 1室
・家賃下落率 0%
■事例3(座間市) 2001年竣工 スタジオ、ファミリー 40戸
・現在空室 3室
・家賃下落率 2.8%
■事例4(横浜市) 2002年竣工 スタジオタイプ 27戸
・現在空室 0室
・家賃下落率 0%
■事例5(藤沢市) 2002年竣工 スタジオ、メゾネット 32戸
・現在空室 1室
・家賃下落率 3.2%
ちなみに、全国平均の家賃下落率は、この1年間で5%ほどと言われています。
私どものデータは、あくまで10年間の下落率なので、オーナーを中心としたプロ集団(税務・ファイナンス、不動産管理、設計など)の力を結集し、テーマを絞り込み『一生懸命』考えて作った建物は魅力が継続するという結果となっています。
最後に、ストック活用(全国平均の賃貸住宅の空き家率・2008年度:18.7%)の時代になる事が予想されるなかで、【魅力の再構築】としてのリノベーションの役割についてもお話させて頂きました。
セミナー終了後、場所を変えて参加者の方々と懇親会が開かれ、いろいろな方々とお知り合いになれ、またさまざまな話を聞く機会を頂き、とても有意義なセミナーとなりました。
セミナーを主催された、会計事務所の所長さんに感謝申し上げます。
また、セミナーを担当して頂いた担当者の方、ありがとうございました。(S.H)