このグループホームは、横浜市都筑区の小高い丘の上に建つ軽度の障害者のための居住施設です。
敷地は市街化調整区域で、竹林の間から第3京浜を見下ろす、とても景観の良い場所です。
木造2階建てで、入所者5人のための個室と職員の個室、リビングダイニングキッチン、共通の納戸、水回りといった構成となっています。
今回の仕事をする前から障害のある人たちの居住について、いろいろな講演会等によって聞く機会を得ておりました。
国の発表では、人口の約6%が障害者だという事になっていますが、障害者の協会の調査では、実質的には約10%とも言われています。
障害のある人々の居住については、いかに『人間らしい生活の実質化』を実現できるかが大きなテーマとなっています。
『自立』という言葉が、重要なキーワードになります。
社会から隔絶した状況でなく、社会との関わりの中で生活する事が自立につながると思います。
ヨーロッパでは、社会との関わりを持たない施設は無いと聞きます。
社会と関わるためには、“個”の確立が重要になります。
成人した人たちが、グループで住むのは大変な事だと思います。
『個の生活の確保』と『自己実現の場』をいかにバランスさせるか…
障害のある人たちの社会参加をどのように実現させるか…
我々が現状の実態を認識し、設計の立場からもっと深く関わって行かなければならないのではと思いました。
この仕事を通じて改めて障害者の居住について、掘り下げて考えるスタート地点に立ったように感じています。(S.H)