昨日、ある友人からお知らせを頂いていた、高次脳機能障害の方たちのコンサートを見てきました。
世田谷区の玉川区民会館で開かれた『春の音コンサート』です。
事故や病気による脳の損傷で記憶や言語による障害が残る人たちです。
その方たちが、機能回復に向け、歌や楽器の演奏に取り組み、練習を繰り返した成果を発表する場になっています。
脳卒中で倒れ、一時は植物状態だったという男性がバンドを組みギターを弾くまでに回復されていました。
その方の奥様が代表をされている世田谷高次脳機能障害連絡協議会が主催で、世田谷区が後援し、失語症会話パートナーの皆様が協力して行われました。
またあるグループの方たちは、リハビリのために物語を仲間と一緒に朗読していました。
障害により失語症になってしまった方々が、一生懸命に歌謡曲を歌っていました。
また、今回のコンサートを目標にしてリハビリに励んできた高齢のご夫婦がすばらしい声を披露していました。
高次脳機能障害者の自主グループの方たちが、自ら参加の場を作ろうとさまざまな活動をされています。
イベントの模擬店やバザーなどの形で参加し、前職が中華料理店を経営されていた方の作る『焼売』はたいへん好評を得ているとの事です。
このグループは、遠くの県へも演奏旅行に出かけているそうです。
絶望や苦悩の中から、家族をはじめ周囲の人たちに支えられて、一人一人が障害を超えて新たな人生を前向きに進んでいる姿があります。
目標を持って、まっしぐらに努力した結果、ここまで人間の持っている力を引き出し、少しずつ回復に向かっているという事実は、とても衝撃的ですらありました。
我々健常者は、ちょっとやそっとで参ってはいけないと思います。
また、最後に高次脳機能障害のためのさまざまな支援活動をされているリハビリのクリニックの院長先生の話がありました。
障害者の方たちが地域で暮らすこと、住み慣れた地域で安心して住み続けることのできる環境づくりのお話がありました。
まだ、社会から十分に認識されていないのが実情だとの事です。
障害者の皆さんは、昔の記憶は明確に残っているそうです。
それぞれの皆さんの得意な事や、病気になる前にやっていた仕事などを活かし、社会参加できるコミュニティーの場が是非とも必要だと感じました。
いつ、だれが当事者になるかわかりません。
我々も自分のできることから何らかの形で“場づくりに”係わって行きたいと思います。
人間の“すごさ”と仲間の“ちから”を痛感しました。(S.H)